こんにちは!ブログ担当のeye(アイ)です!
人口減少が進む中で街選びの重要性についてお伝えしてまいりました。
今回は実際に国が災害の可能性がない地域への居住を誘導していることがわかる施策を見ていきます。
国土交通省は新築住宅向けの補助金政策を改める事が発表されています。災害が想定される区域で出していた複数の補助金を2024年度から半分にするといった内容です。被害を受けやすい地域での住宅新築を抑制し、リスクの低い地域に誘導する狙いがあります。人口減に備え、災害に強いまちづくりをどう進めるかが重要となり、今後のこの流れを意識した住宅購入が求められます。万が一、被災してしまった場合に、建物が倒壊、その復旧に補助金が活用できないといった2重のリスクを回避する為には、災害想定区域での住宅購入は避けた方が良い事が分かります。
補助金を半分にするのは子育てエコホーム支援事業と、安否確認や生活相談サービスを受けられる高齢者向けの集合住宅の新設を支援する事業と発表されました。新築住宅を補助する事業であれば同様の対応を検討する事も含まれています。
エコホーム事業は、子育て世帯や若い夫婦世帯が省エネ性能の高い新築住宅を取得する際に最大100万円を補助する制度となります。
国土交通省が2023年度補正予算と2024年度当初予算案で計2500億円を計上しています。前身事業の2023年度の利用実績は新築で13万戸ありました。高齢者向け集合住宅の補助金は、整備事業者向けに1戸あたり最大135万円を出していました。
洪水や津波による浸水が想定される区域や土砂災害で人命に危険がおよぶ可能性のある地域は、国交省や都道府県が危険度に応じて「レッドゾーン」と「イエローゾーン」に分けられています。レッドゾーンはすでに補助金の対象外となっており、2024年度からはイエローゾーンのなかでリスクの高い区域の補助金を減らす事が発表されています。2024年1月に発生した能登半島地震ではイエローゾーンにあたる土砂災害警戒区域に立地した建物の倒壊が多く報告されました。具体的な対象は住宅の立地が下記の通りと定義されています。
(1)都道府県が住宅の開発を制限する市街化調整区域
(2)土砂災害警戒区域や洪水の浸水想定が3メートル以上の区域
双方に当てはまる場合となり、主に郊外の山あいや大きな河川の周辺となるエリアとなります。
地震などの自然災害が相次いでいるのを受けて、国や保険会社は安全な地域への誘導を進める事を発表しています。政府は2021年の法改正で、浸水の危険が高い地区を「浸水被害防止区域」に位置づけ、都道府県がレッドゾーンに追加できるようにしました。住宅や高齢者施設などの開発が制限可能となり、実質、このようなエリアでの開発がしにくい状況となっています。
損害保険各社は2024年度から水害を補償する水災保険の保険料を危険度によって5段階に分けます。保険料はこれまで全国一律だったが市区町村別に差をつける狙いがあり、この5段階に分ける事で、水害が多いエリアとそうでないエリアでの保険料の違いが発生します。
一方で災害リスクの高い区域で人口が増えている実態もあり、財務省によると2015年までの20年間で、32都道府県で洪水の浸水想定区域で人口が増えたと発表しています。近年は地球温暖化の影響で住宅が集まるエリアでも自然災害の被害が相次ぎ、災害の懸念が高い場所で人口が増える動きに歯止めをかける狙いがあります。
被災した後に大規模な復旧・復興に取り組むよりも、リスクの低い地域に住むよう促す方が人的被害や財政的な負担は少なくなる事が分かっており、事前防災の観点からこのような制度の見直しに繋がっている事が分かります。ちなみに、東日本大震災の被害額は道路や住宅などだけで16.9兆円、阪神大震災は9.6兆円にのぼった事が発表されています。政府は震災後に巨額の予算を組んで復興を後押ししたものの、有効に使われていないとの批判もあります。
東日本大震災後には4600億円以上を投じ、津波で被災した土地をかさ上げし宅地や道路を整備した。だが工事に時間がかかり、戻った人は少なかったようです。
国立社会保障・人口問題研究所によると、2070年に日本の人口は8700万人になる事が予想されています。そのような状況となれば、税収も減っていく事も予想され、復興しても被災前のにぎわいを取り戻すのは容易ではありません。防災力を高めるまちづくりが欠かせないという事と、これから住宅購入をする際には、災害想定区域の住宅購入は更なる注意が必要となります。
もし住宅購入後に、被災してしまった場合は、補助金も受けられませんので、このような情報を今後の参考にお役立て下さい。また、被災してしまった後の復旧・復興に関しては下記の政府広報オンラインのホームページも参考にしていただければ幸いです。